一度は試したい、『ドイツ生まれ』の本格派ノンアルスピリッツ。
ノンアルコールカクテルを「モクテル」と呼び、近年欧米では『SoberCurious(ソーバキュリアス=お酒を飲めるけどあえて飲まないという意味の造語)』がトレンド。
なんとドイツでは、ビールの販売量全体に占める『低・ノンアルコールビール』の割合が10%に迫ると言われ、市場において一定の影響力を持ち始めています。ノンアルドリンクを専門としたスタートアップも次々と誕生しているんだとか。
日本でも近年は健康などのためにノンアル飲料を選ぶ層が広がりつつあります。ただ、高品質なノンアルコールの商材は希少で、日本での流通もごく僅か。
それと比較すると、ヨーロッパのノンアルコール飲料のジャンルは日本以上に豊富。スーパーの一角では、棚一つ分もの低・ノンアルコール飲料がズラリと並んでいるのはご存じでしたか?
ノンアルスピリッツの魅力
なんとこちらに並んでいるのは全てノンアルコールジン!
(EUでは、アルコール度数37.5%以上でないとジンと呼称することができないので、ドイツではノンアルコール・オルタネイティブとして販売されています。)
ノンアルコールスピリッツ=アルコールの入っていない蒸留酒(直訳)。
こちらも種類が豊富なことに驚きます。(※写真にはノンアルリキュールも写っています)その製法には「蒸留してアルコールを抜く製法」と「アルコールが介在しない製法」の2つがあるそうです。
種類は様々で『ノンアルコールジン・ノンアルコールラム・ノンアルコールウォッカ』などを総称して”ノンアルコールスピリッツ”と呼ばれています。
また、ノンアルコールスピリッツの原料に用いられる植物は、それぞれの基であるスピリッツと同じものを使用するのが基本とされているので、本家にも負けないしっかりとした香りや味わいを楽しむことができます。
(ノンアルコールジンも通常のジンと同じようにジュニパーベリーなどを原料としています。)
ボトルも目を惹くオシャレなものが多く、飾っているだけでも華やか。スーパー以外にも、雑貨やインテリア用品店に並んでいることもしばしば。
ドイツ初のノンアルジン『Siegfried(ジークフリート)』
ジークフリート・ラインラント・ドライジン(Siegfried Rheinland Dry Gin)
原産地:ドイツ | 度数:41% | 内容量:500ml | 使用ボタニカル:ジュニパーベリー、菩提樹の花、ラベンダー、ビターオレンジ、タイムなど全18種類
製造者:RHEINLAND DISTILLERS GmbH
オランダの医師が開発した解熱効果のある薬酒をルーツに持ち、主にカクテルベースとして親しまれてきたドライジン。
ドイツ・ボンにあるRheinland Distillers(ラインラント・ディスティラーズ)はドイツの蒸溜所で、伝統的な手法で蒸留されるクラシックなジンで有名です。
Siegfried(ジークフリート)は、ドライジンのブランドとして2014年に誕生。ワールド・スピリッツ・アワード2015でドイツ生まれのジンとして最高点を獲得し、ダブルゴールド賞を受賞しました。
18種類の良質なボタニカルが醸し出す豊かな花と柑橘の香りが魅力。人工的な香料や添加物は一切不使用で、手工業で製造しているため生産数は少量でプレミアムなジンです。公式HPには『アルコール41%、情熱100%』とあるように、一本一本に愛情と職人の情熱がたっぷりと注ぎ込まれている逸品。
さて、もうお気づきの方もいるはず。
これらのジンは、ドイツの英雄伝説にちなんだバックグラウンドを持っています。
ボン近郊にある、『Schloss Drachenburg(ドラッヘンブルク城)』にまつわる物語は有名ですね。
ドイツの英雄叙事詩、ニーベルンゲンの歌。
英雄ジークフリートは、ドラゴンと対決し勝利した際、返り血を浴び不死身の身体を手に入れましたが、背中に一枚はりついていた菩提樹の葉のせいで、そこだけ人間の体として留まります。最後はその部分を突かれて死をとげてしまうという伝説です。
菩提樹の花はジンに独特の味わいを生み出す重要な素材であるだけではなく、ジークフリートというそのブランド名にも深く結びついています。
ジークフリート・ワンダーリーフ ノンアルコールジン(Siegfried Wonderleaf)
原産地:ドイツ | 度数:0% | 内容量:500ml | 使用ボタニカル:ジュニパーベリー、菩提樹の花、オールスパイスベリーなど全18種類
製造者:RHEINLAND DISTILLERS GmbH
ご紹介した同ブランドが2018年にドイツ初のノンアルコール・オルタネイティブ(ノンアルジン)として発売したのが「Wonderleaf」。ヨーロッパ圏内では販売店舗によっては度数41%のドライジンを凌ぐ売上本数という人気ぶりだとか。
原材料として表記されている香料は菩提樹の花・ジュニパー・オールスパイスなど18種類の厳選された天然のボタニカルで、本物のジンさながらの風味が味わえます。
何度も試作を繰り返しジークフリート・ドライジン同様に最良のアロマを抽出する方法にたどり着いたのだそう。
ほかにも、ラズベリーやハイビスカスを使った『Wonderleaf Rosé』、トンカビーンズやナツメグが効いた『Wonderoak』があるので、ぜひ見つけてみてくださいね。
ノンアルコールカクテルを作ってみよう
ジークフリートを使ってカクテルを作ってみましょう。今回はオリジナルカクテルをご紹介。
【材料】
・Siegfried Wonderleaf(アルコールフリー)
・APERITIVO(アペリティーボ)(アルコールフリー)
・Fever Treeトニックウォーター
ジークフリートは、トニックウォーターとの相性抜群!加えて、オレンジやローズマリーとの相性も良いので、ノンアルコールアペリティーボを使用しました。
アペリティーボとは、ヨーロッパで人気なジャンルの食前酒用、柑橘類の皮とハーブのリキュールです。
工程はとても簡単。オリジナルなのでお好みでアレンジしてくださいね。
1.ジークフリート…45㎖、アペリティーボ…15㎖をグラスに注ぐ。
2.トニックウォーターをフルアップ(グラスに満たす程度まで注ぐ)する。
3.最初に氷を入れてから作ってもよいですし、お好みで氷の代わりに凍らせたフルーツを入れても美味しく見た目も華やかに仕上がるのでオススメです。
今回は凍らせておいたブルーベリー、木苺、レモンを加えてみました。少し溶けてほんのり色づきとても可愛らしい、爽やかなモクテルになりました。
先述のとおり、日本には輸入規制もありまだまだ欧米のノンアルコール商品が多く出回っていません。豊富な種類を試すことができるのは、ヨーロッパに住んでいるからこその醍醐味のひとつではないでしょうか。
低・ノンアルコールカクテルのレシピ本も書店に並んでいますので、ご興味がある方はぜひ探してみてくださいね。
ジークフリートを使ったいつもより少し贅沢なジントニックには、オシャレなカナッペを合わせてみてはいかがでしょうか?
クラッカーやライ麦パンとサーモンや柑橘系がジントニックの爽やかさに相性ぴったり。
こだわった材料や製法で作られるものが増えてきた昨今。『ノンアルコール飲料=アルコールの代替品』という概念を超えて、もはや別ジャンルの新しい嗜好品が生まれたといっても過言ではないでしょう。
アルコールが苦手な方、飲めない環境の方、様々あると思いますがぜひ”ノンアルコールの世界”を楽しんでみては?
※ドイツでは、アルコール分が0.5%未満であればノンアルコールとされます。微量のアルコールを含む場合があるため(授乳・妊娠中の方は特に)選ぶ際は、必ず0.00%であることを確認してください。
◆別媒体での過去取材記事(キレイノート):
日本初の本格的ロー・ノンアルコールバー「LOW-NON-BAR(ローノンバー)」』
……ローアルコール・ノンアルコールの世界に触れてみたい方にオススメ記事です!