Vol.2 プラントベースフードX独自進化した豆腐

読者の皆さま、こんにちは!ドイツ在住ほぼ在宅フリーランスの高橋萌です。

「ヨーロッパの最先端事例は?」「Z世代のライフスタイルの変化は?」「〇〇業界のトレンドをリサーチせよ!」と、様々なお題(ご依頼)に応えるべくマーケットの動向に目を光らせている筆者が、

「これは日本でも応用できそう!?」「日本人の琴線にも触れそうなコンセプト!!」「これは今、私が欲しい……」と感じる、ドイツおよびヨーロッパのトレンドやライフスタイルの変化についてご紹介していきたいと思います。

今回のテーマは、環境保護、健康、動物の福祉にまで意識が向く「今どき」の消費者によって急速に広まる「プラントベースフード」市場のお話です。

植物由来のタンパク質にヨーロッパは熱視線を向けていますが、ここは日本も伝統的に得意な分野。チャンスです。

お腹とあごを満たすのがドイツの食文化

日本からのトレンド調査のご依頼で一、二を争う人気テーマは、やはり「食」。

日本の食文化の豊かさについては、私自身が日本から離れて暮らしているからこそより一層、実感するものがあります。めくるめく美食の国、それが日本。食に対する探究心、好奇心、柔軟性は世界一といっても過言ではありません。日本人は、「食」を快感や楽しみと結びつけるのがとっても上手。



それに対してドイツは、食に対してとっても保守的な国。10年くらい前までは、食文化の変化を好まないこの国で「トレンド」を探るのって本当に難しかったんです。



「食」を実感するのは、歯応えと食べ応え。「腹」と「あご」を満足させるのが「食」の役割だ!

というのが、ドイツの人の伝統的な食の好みを理解するために私が立てた仮説です。



ドイツ土産でお馴染みのクマのグミ「Haribo」のあの固い食感や、ドイツパンやドイツ菓子のずっしりとした食べ応えが何より大事なのです。

ドイツの友人にとって、日本の食パンは柔らかすぎるし、シフォンケーキは空気のように口の中で消えてしまって困惑……。

つまり、ふわふわ、しっとり、もちもち、みたいな食感を楽しむ食べ物は、「腹」にも「あご」にもガツンとこないよ!ということだったんです。



味の好みの違い以上に、テクスチャーの嗜好の違いが、ドイツで日本食をおすすめする際のハードルになっていました。



お腹と心を満たす植物由来の食材「プラントベースフード」

ところが、ここ数年で急速に消費者の食の嗜好やライフスタイルに変化が現れ、それを反映するようにスーパーマーケットの商品棚も、どんどんその様相を変えています。ソーセージとビールの国ドイツで、代替肉のソーセージ、ノンアルコール・ビールの売り場面積がどんどん増えているのです。

中でも、一番大きな変化は、プラントベースフード(植物由来食品)の市場の拡大です。

ドイツにヴィーガン(完全採食主義者)の人は、約150万人いるそうです。また、菜食主義でなくても、若い世代は「フレキシタリアン」として、カーボンフットプリントの削減や水資源の保護に寄与するためにプラントベースフードを選択肢に入れています。

食事に際して、お腹を満たすだけでなく、社会や環境へ貢献しているという心の満足度も大事にする消費者が増えてきています。



注目のプロダクト!

豆腐Xドイツ食Xオーガニック

Tofubarの「豆腐ベーコン」

https://www.tofubar.de



TOFU-SCHINKEN

https://www.instagram.com/p/C84vlr0tPhN/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==


この大きな潮流の中、ドイツでの豆腐の人気も急増しています。豆腐は、植物由来のタンパク質源として健康志向の消費者に受け入れられ、ヴィーガンやベジタリアンだけでなく、一般家庭でも普及が進んでいます。



スモーク豆腐やハーブ風味など、日本ではお目に掛かったことのないような様々なバリエーションが登場しており、スーパーやオンラインショップで簡単に手に入ります。ドイツでの豆腐の躍進は、現地での独自進化が進んだことに勝因があります。



ドイツ東部ザクセン州のケムニッツの「Tofubar」は、ドイツのオーガニック認証を取得した国産大豆を使用して豆腐を作っています。プレーンな豆腐のほかに、パンやサラダと相性抜群のオリジナル豆腐を展開していて、中でも「豆腐ベーコン(TOFU-SCHINKEN)」が人気。日本食やアジア食を調理できなくても、気軽に豆腐を楽しめることがドイツの食卓への進出の鍵です。



そして今後、日本の高品質な豆腐の深みにドイツの消費者を誘う土台が作られていると感じます。



今はまだ、「ノンフレーバーな豆腐は味がない」という声が聞かれますが、

抹茶人気を経て、ノンシュガー、ノンフレーバーの緑茶が欧州市場を席巻しているように

もちアイスがあっという間に市民権を得て、大福の専門店が出てきたように、

絹ごし豆腐の冷奴が受け入れられる時代が来ると思うのです。

そして、それは決して遠い未来のことじゃない気がしています。


日本の美味しい豆腐メーカーの皆さん、食品に関わるEU欧州連合規制のハードル(環境負荷の少ない生産方法や包装技術)を超える準備を是非お願いいたします。





高橋萌(たかはし めぐみ)

2003年〜2004年ミュンスター大学法学部に新潟大学からの交換留学生として在籍。

2007年〜2008年ドイツ国際平和村で研修。

2008年〜2017年ドイツニュースダイジェスト編集者のち編集長。

2018年〜独立。編集者・ライター、通訳・翻訳、リサーチ、イベントや撮影のコーディネートなど日本とドイツの

間に立ってそれぞれの想いを繋ぐことを使命として幅広い分野で活動中。ジャンルは、法制度比較から市場

調査、サッカー・ブンデスリーガ取材、最新のトレンドまで、硬軟併せ持つスタイルでやらせていただいており

ます。

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